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UDO本部 外庭広場
景と雪雄は、人集りの多くなったUDO基地内を抜けて正面玄関前の外庭広場へと向かった。
外庭は正面玄関前の広場からUDO本部をぐるりと囲むように道が作られており、一周するだけでも十分な散歩コースとなっている。
「───そういえばさ」
「何です?」
外庭広場からUDOの周りを散歩している中、景が思い出したかのように口を開く。
「雪雄がここに入隊しようとした理由って、あの一宮に憧れていたからって理由なのか?」
「んー、それもありますけど・・・真の理由はそうではないんです」
「・・・・・・?」
雪雄の表情が段々と暗くなっていく。
その急な表情の変化に、景も若干の焦りを帯びた顔になる。
「僕がここに来た理由は、離れ離れになった両親を見つけるためなんです」
「えっ・・・両親を・・・?」
雪雄の口から思いもよらない答えが返ってきた。
「不死者が大量に東京に攻め込んできた時のことを覚えてますか?その時は僕まだ7歳の頃でした。両親が出かけている時に僕は家で留守番をしていたのですが、その時に不死者が東京を襲い始めたんです。僕は家に取り残されていた所をUDOの隊員さんに救われたのですが・・・両親の所在は、いまだ分からないままなんです」
「そう・・・だったのか」
「その時なんですよ、僕が一宮隊長に憧れたのと、このUDOの隊員になればもしかしたら両親の居場所がわかるかもしれない・・・きっと再会出来るかもしれないって」
雪雄のここに来た理由・・・何故こんな戦闘に不向きであるような雰囲気を漂わせた人が隊員になったのか、今ようやく全てが繋がった気がした。
そういう人達には、隊員にならなければ叶うことの出来ない目的、野望があるのだということを景は知った。
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