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「・・・人を探しているんだ。ずっと前から会いたい人がいるんだが、見つからなくてさ。それでここに来たんだ」
「へぇ、その人ってUDOにいる人なんですか?」
「んー、そうかもしれないし・・・そうじゃないかもしれない。どこにいるかも全く分からないんだ」
「そうなんですか。探すのは大変ですね・・・」
景は色んな情報を濁しながら上手く誤魔化すことに成功した。
雪雄には自分の本当のことは知られたくない・・・何も知らないままでいい。
初めて出来た友人を思っての言動だった。
「見つかるといいですね!景君の探し人が!」
「あぁ、雪雄だって早く両親が見つかるといいな!俺も手伝うからさ!」
「本当ですか!?景君ありがとうございます!」
雪雄は喜びながらその場でピョンピョン跳ねた後、思い切り頭を下げてお辞儀をした。
喜び方は完全に女の子そのものであったが、雪雄にはそれに違和感というものを感じさせない素質がある。
「ははっ・・・これからよろしくな、雪雄」
「はい、よろしくです景君」
景と雪雄はお互いに右拳をコツンとぶつけ合わせる。
良き友人として、共に不死者と戦う仲間として、これからの日々を共に助け合って行くことを2人は誓い合ったのであった。
──────────
UDO本部 屋上
ここはUDO本部の屋上。
何もなく隅を鉄柵で囲んでいるだけのだだっ広い空間に、外の景色を見ながら鉄柵に頬杖をついている男が一人。
天羽の姿が、そこにあった。
「・・・・・・」
天羽は暇そうにしているのか、ただただ何もすることなく外の景色を眺め続けている。
───と、そこへ
「こんなとこに居たか、迅」
「ん・・・?」
後ろを振り返る天羽。
屋上の入口の扉を開けたのは、先ほど1階で女性隊員に囲まれっぱなしだったA級隊員の一宮だった。
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