2:入隊式

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「おやおや、これは “紅蓮の王” の一宮隊長じゃないか」 「おい、こんな所でそんな仰々しい呼び方で呼ぶな。普通に呼べ、普通に」 「ははっ、悪かったね将貴」 一宮は天羽のからかいに両手を上げて呆れた素振りを見せる。 その呆れ顔を見た天羽は口角を上げて微笑んだ。 「・・・それで、お前はなんでこんな所にいるんだ?」 「あぁ、ちょっとこれからのこと考えていてね」 「これから?」 天羽の隣に立ち、鉄柵に肘をつきながら外の景色を見る一宮。 UDOの屋上から見る新東京市の景色は圧巻であり、周りの建物や住居が豆粒の様に映っている。いかにこのUDO本部が巨大な建物であるかを示している。 「かわいい後輩が出来たからね。これから色々と忙しくなるだろうと思ってね」 「後輩?・・・あぁ、鳴神景のことか」 「そうそう。入隊式にいたでしょ?どうだった?」 「隣にいた新入隊員と仲良く話してたよ。楽しそうにな」 その言葉を聞いて、天羽はバッと顔を一宮へと向ける。 表情に変化はないが、目元が憂いに満ちていた。 「・・・そうか・・・楽しそうに・・・もう友人が出来たんだね。よかった、これからもっと友人が増えるといいね」 「友人1人出来ただけで、そこまでお前が喜ぶことなのか?」 「まぁね・・・彼は今まで辛く退屈な思いしかしてなかったからね」 天羽は景と出会った頃のことを思い出す。 「鳴神君は鬼堂嘉彦の実験の被害者となり、今の半分の人生を何もない白い空間で過ごしていた。唯一外の状況を知ることが出来たのはニュース番組しか流れていないテレビだけ。自分からは誰とも会うことは出来ず、許可がなければ部屋の外へも出ることは出来ない・・・毎日が身体の検査やカウンセリングばかりだったそうだよ」 「へぇ・・・」 「そんな普通の生活を送れなかった鳴神君をどうにかして楽しい思いをさせてあげたい・・・このUDOならそれが出来ると僕は考えた。ここにいれば退屈なんてしない。一緒に戦い、共に実力を競い合う仲間だって出来るはずだ。鬼堂の情報も、ここなら手に入りやすい・・・鳴神君にとってこんなにいい場所は他にないよ」
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