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「うぅ・・・っ・・・!!」
「ん?・・・外見的変化は見当たらないが・・・この特徴は・・・。細胞が早くも馴染みつつあるのか・・・それとも器官の発達か・・・」
「せ、先生・・・もう止した方が」
様子を確認しながら、鬼堂はブツブツと独り言を呟く。白衣の胸ポケットに収められていた手帳を取り出し、そこに書かれたメモと男の子を交互に目をやりながら観察を続ける。
後ろで医師達が制止をしようにも、彼らの声は興味をそそられている観察物を前にした鬼堂の耳には入る余地は無かった。
「・・・良い反応だぞ、この子にはこの先期待が持てそうだ。おい、被験体を運び出すぞ。この子に麻酔を」
「・・・え、はっ、はい!」
手に持っていた手帳をパタンと閉じ胸ポケットにしまうと、鬼堂は助手を呼び出し、麻酔の用意をさせた。
助手の一人は声を震わせて返事をし、透明な液体が入れられた注射器を取り出し、鬼堂へと渡す。
「よし・・・名残惜しいが、君の”成長”は今後も見させてもらうよ・・・今眠りなさい」
「うぅっ!うぅ!!」
鬼堂はそう男の子に語りかけ、右腕に注射を打とうとした。
と、その時──
「ううぅ!!!うぁぁぁぁぁっ!!!」
「なっ!!?」
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