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「うぅ・・・うぅぅっ!!」
鬼堂らがいなくなり、部屋には唸り声だけが木霊する。
血まみれのバケモノは、苦しそうな表情でヨダレを垂らしながら辺りを見渡す。
何かを探している様にも見える。
「チィ・・・・・・チガ・・・・・・」
バケモノは掠れた声で何かを呟く。日本語なのか、それとも何の言語でもないのかわからない言葉を発した。
「チガ・・・チガァァァァァァァァ!!」
バケモノは再び声を荒らげて叫び出す。何かを求めているかのように。
と、その時。
「・・・・・・?」
手術台に乗せられていた白髪の少年が、ゆっくりと目を覚ます。
朧気な目で研究室の天井を見る。
「・・・コ・・・・・・コハ・・・?」
左目が赤く染まっていた白髪の少年は、静かにそう口にした。
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