第1部 1章 ダイナ

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「昼間、この島を散策しながら探そうと思ってたんですけどこの時間じゃ難しいですよね…」 この島には個人が経営している民宿しかない。ビジネスホテルも何年か前には有ったらしいけどもこの島へ旅行や遊びに来る人には合わなかったらしく数年で潰れてしまったらしい。 お金はあるけれどもこれから1ヶ月この島で過ごすんだからあまり無駄遣いは出来ないし今夜は野宿…なんて恐ろしい考えにどうしようか絶望していると淳子さんはお茶のおかわりを煎れながらニッコリと笑う。 「それならこの島にいる間はウチにいるといいわ。こんなんボロボロの家でも部屋だけはたくさんあって民宿としてやっていられるくらいだから」 その言葉を聞いて勢いよく顔をあげる。 「いいんですか!?」 「全然いいわよぉ~。雅樹くんもここにいるし他のお客さんも今は2~3人いらっしゃるしね。あ、でも今の時期ここに泊まっているのはみんな男性のお客様なんだけど大丈夫?」 詳しく聞くと今の時期時期は海の家でバイトする人やサーファーのお客様がほとんどで今回は全員男の人が偶然なのかなんなのか泊まっているらしい。まぁこんな色気も女っ気もない私に何か起きるわけがないので2つ返事でOKをする。 「それじゃあしばらく一緒なんだね!よろしくね陽莉ちゃん!」 となりに座っていた雅樹が握手を求めて手を差し出して来る。 「こちらこそここにいる間、よろしくお願いします」 その手をやんわり握って握手を返すつもりでいたのに手を差し出した途端力強く握られて微笑まれる。 「あの、気に障ったら申し訳ないんですけど雅樹…くんはハーフなんですか?」 彼の目をまじまじと見つめて気になっていたことを訪ねる。雅樹くんはあははっと苦笑いをしながら 「よく聞かれるんだけど純日本人だよ。ちょっといろいろあってね。」 それ以上は触れられたくないのかあまり話してくれなかった。まぁ人それぞれ秘密や話したくないことの3つや4つあるもんだからこのときはそんなに気にしていなかった。 「そうと決まれば夕食を一人分増やしてあげなきゃね!パパ~?」 淳子さんはお盆片手に部屋から出て行ってしまったので居間には私と雅樹くん2人だけになる。
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