愛娘、いちこ

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愛娘、いちこ

今日の朝ごはん。 チーズを乗せて焼いた食パンとブルーベリー入りヨーグルト。そして、いちこお気に入りの特製オニオンスープ。勿論手作り。 今の世の中便利だよな。手元のスマホで『簡単 オニオンスープ』と入力すれば、ずらりとレシピが並んている。 「いっこ!そろそろ起きなさーい!!」 布団の中に丸まって眠る愛娘に声を掛けるも反応なし。そりゃそうだよ、昨日寝たの22時過ぎてたもんな。帰ったのも20時廻ってたしなあ。 「……まだねる」 「だめ!早く起きて!今日パパ急がなきゃなんないからさあ、ね、お願い!いっこちゃん!起きて!!」 「んー……きょうはほいくえんおやすみする」 「だめだって!」 寝起きの悪さは天下一。 誰に似たんだか。 「起きないとぉ……」 布団の中に潜り込んでぎゅうぎゅう抱き締めると、うふふ、と笑う声がする。 「こちょこちょの刑!」 脇腹を擽ると手足をバタバタさせて転がるいっこを捕獲する。 「はい、起きるー」 「わーん」 泣いてもない癖に、両手で目を覆って一丁前に泣き真似なんぞする4歳になったばかりの愛娘。 恐ろしい。 将来が不安だ。
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