招かれざる客

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香月がキスするかのように顔を近づけてきたかと思うと、頬にこぼれ落ちた涙をぺろりとなめとってしまった。 ひゃあ。 びっくりして佳梛が固まってるうちに、瞳に溜まったままの涙まで。 左目の次は右目も 目の中に舌を入れられるのは流石に怖くて、無意識に香月にしがみついていた。 佳梛は必死なのに、香月は慣れたもので飄々として、というより嬉々として佳梛の様子を窺ってくる。 「怖がりだな。佳梛から抱きついてくれるなんてな。」 香月の言葉に我に返る。 慌てて突き放そうとするけれど、しっかり抱きすくめられてしまっていた。   「ちょっと。」 「何だ。」 分かってるくせにすっとぼけられる。 もうっ。 「離してよ。 」 「嫌だ。」 嫌って…。 佳梛を抱きすくめたまま、片手が不埒な動きを始める。 佳梛のウェストからヒップの辺りを行ったり来たり。 「佳梛。少しは抱き心地良くなったじゃないか。」 それって太ったって言いたいの!? ヒップにあった香月の手の甲を思いっきりつねる。 「いてっ。(>_<)」 「真瀬さんが甘いものばっかり食べさせるからじゃない。」 「そうか、ならもっと食べないとな。」 んん。 「好きだろ?マシュマロ以外の甘いもの全般。」 ん!? そんな話、したかな。 「あれ程嬉しそうな顔して食べてれば、分かるよ。」 そんな顔に出てたんだ。 「マシュマロを食べるときだけ、眉間にシワ、寄ってたしな。」 思わず眉間に触れてしまう。 「自覚なかったのか。」 香月は眉間から佳梛の手を離して、代わりに自分の唇を押し当てる。 「ほら、止まっただろ。」 あ、涙。 いつの間にか引っ込んでる。 香月のドヤ顔に、思わず笑ってしまう。 そんな佳梛を愛おしそうに見つめる香月の視線がこそばゆい。 さっきから距離が近いんだけど。 そわそわして落ち着かない。
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