招かれざる客

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駅前に18時。 香月から、ディナーの誘い。 付き合えと脅されてから、初めてのデートのお誘い。 にも関わらず、今日は須貝さんが現れたお陰で気分が悪い。 あれからも嫌がらせをたっぷり言われ、最後までこきつかわれた。 「それからついでにそこのゴミ、捨てといて。」 佳梛はあなたのヘルパーではないのですが。 とは言えず、まだほとんど溜まっていないごみを捨て、「失礼しました。」と挨拶をしてようやく立ち去ることができた。 精神的にかなり疲れる1日だった。 こんな日は早く一人になりたい。 訴えてみたけれど、事情を知らない香月には例のごとく脅され、仕方なくここにいる。 あれから、半月以上、今まで通りお昼休みに裏庭で会うだけだったから、つきあえって言われたのは、いつも通りからかわれただけなんだと思ってたのに。 でもディナーなんて、迷惑なだけだ。 ご飯を食べるだけでいちいちマナーがどうとか言われても。 知らないし。 第一、着ていく服がない。 ラッシュ時の駅前のロータリーで、人の邪魔にならないように隅っこに佇んで、溜め息をつきながら、自分の服を眺める。 何回見てもシンデレラのドレスに変わるわけはなく。 もう何年も日の目を見ることもなかったワンピースは、久々に腕を通すと洗濯のし過ぎで、少し色褪せていた。 久しぶりにワンピースを着たりして、こんなお洒落は香月の目にはどう写るだろう。 佳梛には大きなことでも香月には些細なこと過ぎて分からないかな。 それともちょっと食事に誘われただけなのに、頑張りすぎかな。 頭の中はぐるぐるぐるぐる? 振り回されてるかな。 なんだかそんな自分が滑稽に思えてくる。 やっぱりワンピースなんかじゃなく、何も考えずにいつも通りのジーンズとパーカーの方が良かったかも。 そんな風に思い出すと思考が止まらなくなってきて。 やっぱり着替えに帰ろう。 と、回れ右をした時、車のクラクションがなった。 「佳梛。」 香月は、車を乗降ゾーンに鮮やかに停めると、佳梛のところまで足早にやってきては、がっちり肩から佳梛を抱えるようにして歩き出す。 そのまま助手席に押し込まれると、香月は運転席に回り車はすぐに発進した。 体にフィットしたシートはゆったりと広く、振動もなく静かに走る車は、乗り心地抜群のはずなのに。 …(..)? 何故だか居心地が悪い。 香月の空気が重い。 珍しく何も喋らない。
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