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「いらっしゃい。遠慮せずにあがって」
美奈子先輩がにこやかな笑顔で出迎えてくれる。
「おじゃまします」
部屋の中はきれいに整理されていて、しっかりとした印象の美奈子先輩らしさが見える部屋だった。
意外だったのは部屋のあちこちにさりげなく飾られている小物達が可愛らしいものが多いことだ。
「似合わないかしら?」
私が小物に目をとめていることに気が付いたのだろう。困ったような顔で話しかけてきた。
「あんまり人には言わないけど可愛い物好きなのよ」
「いえ、素敵だと思いますよ。先輩のそういう一面を知れて嬉しいです」
「ふふ。そう言ってくれると私も嬉しいわ」
美奈子先輩が紅茶を入れてくれる。香り豊かな匂いが漂ってくる。
「先輩旅行から帰ってきていたんですね」
「ああ。うん。昨日帰ってきたところ」
「私も先輩みたいに一人旅とかしてみたいなぁ」
「そんないいものじゃないわよ。失恋旅行だから」
紅茶のカップが目の前にコトリと置かれる。美奈子先輩がソファの隣に座る。
「先輩を振るなんて見る目がないんですよ」
頬を膨らませて怒った素振りを見せる。
「ふふ。ありがと」
先輩がふわりとした優しい笑顔を浮かべる。先輩の眩しい笑顔に見つめられて私は思わず視線をそらして紅茶を一口、口に運ぶ。
「あ、美味しい」
「そうでしょ。私のとっておきなの」
先輩が私の為に特別な事をしてくれていると思うと心臓がどきどきとした。
「先輩。動画みるんでしょ。ほら一緒に見ましょう」
テーブルの上に置かれていたノートパソコンを手前に引き寄せて顔を並べて画面を見つめる。
今日はネットで人気の動画を二人で見ようと言う話だったのだ。素人の人が自分で動画を撮ってインターネットで放送している動画だ。先輩はあんまり詳しくはないらしいのだが、一度見てみたいというので私が呼ばれたのだ。
「ごめんね。私、あんまりそういうのに詳しくなくて」
「いいんですよ。これぐらいお安い御用です。で、どんなのがみたいですか? 色々ありますよ」
動画投稿サイトを開いて画面を指さす。
「これ。これが面白そう」
先輩はトップページにあった生放送で色々な事をする動画の一つを選んで再生する。これは最近人気が出てきた。ヤマカンと言う人が出てくる動画だ。
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