完璧男子に類なし The last decision

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完璧男子に類なし The last decision

「大悟さん!」 コンビニに行こうと外に出ると、沙綾の弟の良樹が近づいてきた。 大柄で人懐こい笑顔は、大型犬そのものだ。 「よお。うちに来るところだったのか?」 「はい!」 「沙綾ならいないぞ。残業すっから遅くなるって」 「えー、マジっすか?DVD貸してくれるって言ってたのに」 「DVD?なんの」 「【狼少年鳥になる】です。明日から映画公開だから、今日中に見たかったんですけど」 「あーそれならデッキの中にあるはずだから、今持ってくか?」 「いいんですか!?・・・あ、でもお出かけするところだったんじゃ」 「どうせコンビに行くだけだから。後回しでいい」 良樹を連れて、俺は家へと戻る。 そしてデッキ近くのラックから1枚のDVDを取って、 良樹に渡す。 「これだろ?」 「そうです!ありがとうございます・・・・・・兄さん」 「は?」 「えへへ」 いきなり「兄さん」と呼ばれて、素で返事をしてしまった。 だって、俺はこいつの兄じゃない。 「大悟さん、いつになったら俺の兄さんになってくれるんですか?」 「悪い。意味がわからない」 「だって姉ちゃんと付き合って、もう10年経つんですよね?」 「9年だ」 「長いことに変わりはないっす!     
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