完璧男子に類なし The last decision

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胸をギッと掴まれたような衝撃が走った。 な、なんで・・・ 「瀬戸・・・」 『小泉さんがね、うちに来たんだ』 小泉・・・・・・ 沙綾が? 『土下座、されたよ』 「・・・え?」 『大悟と結婚させてくださいって』 「・・・・・・」 『昔、学校祭で会ったときにも思ったけど、筋の通ったまっすぐな人だよね、小泉さんって。  ・・・・・・もっと性格の悪い人だったら、憎めたのに』 「瀬戸・・・」 俺の知らないところで、 沙綾が瀬戸に接触していたとは。 しかも、そんなことを瀬戸に頼むってことは・・・ 「あいつ、知ってたのか」 『多分。学生時代の俺たちの関係も、同窓会のときに再会したのも全部・・・気づいているんだと思う』 沙綾は、知ってて俺と今まで付き合っていたのか。 『知っていて、気づかないふりをしていてくれたんだよ』 「・・・おい、瀬戸。今どこにいる。園内から出てないよな」 『そんな良い人だから・・・俺は・・・』 「瀬戸!」 『橘から離れる決心をしたんだ』 掠れた声。 悲しそうな声。 そんな瀬戸の声なんて、聞きたくない。 「瀬戸、いいから居場所教えろ!こんな電話じゃなくて、顔見て――」 『橘・・・たち、ば・・・な』 「・・・っ」 『・・・10年間、橘を好きでいられて・・・・・・幸せだった』     
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