完璧男子に類なし The last decision

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家に帰ると、明るい声が聞こえた。 「おかえりー、遅かったね」 「ああ・・・」 沙綾は俺の方を見て、ぎょっとした顔をする。 「どうしたの?いつも以上にブサイクだよ」 「・・・なんでもない」 「なんでもなくないよ。目は真っ赤だし、声掠れてるし」 「・・・・・・」 沙綾いわく赤い目で、俺は無意識に睨む。 それですべてを察したようだった。 「・・・瀬戸くんと、会ってた?」 「・・・・・・」 「そっか」 力なくソファに座る俺を、沙綾は後ろから抱きしめる。 「・・・なんで」 「なに?」 「なんで・・・何も言わないんだ」 「・・・いいじゃん。このままで」 「よくねぇよ」 いつもなら心地いいはずの沙綾の体温が、 今は不快で仕方なかった。 「つーか今じゃねぇよ!なんで今まで一言も言わなかったんだよ!  知ってたんだろ?俺とあいつがどういう関係だったのか」 「大悟・・・」 「大人になってから再会して寝たこととか、全部知ってんだろ!」 「・・・それは」 「男相手とはいえ、立派な浮気だろ!怒れよ、殴れよ、怒鳴り散らせよ!」 「・・・・・・」 荒い息をつく俺の後ろで、 沙綾は何も言わなかった。 どうしてなんだよ。 なんでこんな俺を、責めないんだ。     
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