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今の空気すら居心地が悪くなって、立ち上がる。
すると沙綾が俺から離れた。
「・・・大悟、間違ってるよ」
「何がだよ」
沙綾の声は、潤んでいた。
きっと泣いているのかもしれない。
「大悟も瀬戸くんも、間違ってる」
「だから何が!」
「浮気相手は・・・・・・私の方なんだよ」
頭の中が真っ白になる。
こいつ、何を言ってるんだ?.
「瀬戸くんに大悟と結婚すること言ったら、喜んでくれた。結婚させてって言ったら、幸せになってって言ってくれた。
自分は昔の同級生だから気にしないでって言ってくれた」
「・・・・・・」
「ああ、この人は大悟が結婚することを心から喜んでるんだって思った。
自分は大悟のこと、好きで好きで仕方ないくせに!」
「沙綾・・・そんなこと」
「あるよ!大悟だってそう。ずっと瀬戸くんのことが好きだったじゃない!
だから同窓会の日、帰って来なかったんじゃない!」
「・・・っ」
沙綾の、言うとおりだ。
俺は大人になってもずっと、瀬戸のことを忘れていなかった。
だから再会したときに、抑えられなくなった。
――俺の心はずっと、
瀬戸に囚われていたんだ。
「・・・こんな気持ちじゃ、結婚なんてできない」
「いや、沙綾」
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