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「良樹が何言ったか知らないけど、あたしはまだ結婚なんてしなくても平気。そんなに弱くないから」
弱くないから。
そう言った沙綾の目から、
大粒の涙が・・・零れていた。
「今からでも素敵な男性、探せる、だから、っ、大悟・・・」
「沙綾・・・」
「瀬戸くんのところへ、行きなよ」
まぶしいくらいの、笑顔。
なんだよ、まったく。
こいつがすごく嫌な女だったら、
今すぐ嫌いになれるのに・・・
「ごめん、さあ――」
「・・・・・・」
「・・・沙綾。ありがとう」
沙綾に顔を見せないようにして、俺は出て行く。
そして、向かう。
瀬戸のもとへ。
――愛するやつの、もとへ。
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