完璧男子に類なし The last decision

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空が白んできていた。 遠くから、ふらふらと歩いてくる人影。 そいつは持っていた袋を一度置き、 ポケットをまさぐる。 鍵を探しているのだろうか。 ようやく見つけたらしい。 ドアを開けて、袋を持って中に入ろうとした瞬間、 ――突撃した。 「っ!」 後ろからタックルするようにぶつかって、 そのまま廊下へと押し倒す。 袋の中身が音をたてて転がった。 「な、なに!?」 「うるさい、黙れ」 「・・・・・・たち、ばな?」 そいつは驚いた顔で俺を見つめている。 目は潤んでいて、頬は赤く染まっていた。 「は、放せ!いきなり何?」 「暴れるな、瀬戸」 馬乗りになったまま、抵抗する瀬戸の両手を掴むj。 そしてゆっくり顔を近づけた。 「・・・酒臭い。お前、結構飲んでんな」 「う・・・うるさい!いいだろ別に」 「しかもこんなにいっぱい缶ビール買って・・・家でも飲む気だったのか」 「は、放せ、放して・・・」 瀬戸が、口だけの抵抗を見せる。 放すものか、 絶対に。 「お前・・・よくも俺を置いて帰りやがったな」 「・・・そ、それは」 「しかも勝手にはぐれた挙句、言いたいこと言いやがって」 「・・・え、橘―――っん!」 強引に、瀬戸の唇をふさぐ。 「はぁ、ん、い、嫌だ!あ、んむ、っ」     
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