完璧男子に類なし The last decision

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「ん、っ、おい・・・抵抗するな、はぁ、ん」 必死に顔を振って抵抗する瀬戸。 唇が離れては追い、また離れては追う。 「は、あん、っ、ふぁ、も、もう、やめ・・・っん、ふ」 「なんで、だよ・・・俺のこと、んん、好き、だろ?」 「ふあぁっ!」 耳を軽く噛んだだけで、大げさなくらいの反応を見せる。 酒が入って、敏感になっているのか。 もう一度唇に触れようとすると、顔を背けられた。 「す、好きじゃない!」 「でも10年間好きなんだろ?」 「今はもう好きじゃないって!」 「俺は好きだ」 あたりが、静まり返る。 響くのは、お互いの心臓の音だけ。 先に口を開いたのは、瀬戸だった。 「・・・な、に・・・言って・・・・・・」 「二度も言わせるな」 「だ、だって、わかってんの?橘・・・・・・結婚するんだよ。橘は、小泉さんの夫になるんだよ」 「ならない」 「なるんだって!小泉さん言ってたから」 「やめた」 「う・・・・・・嘘!」 瀬戸はもう、子供のように泣きじゃくっていた。 涙と唾液で、顔はぐちゃぐちゃだ。 「なに、言ってんの・・・っ、く、い、意味、わかんな・・・い」 「じゃあ聞いとけ!」 その瀬戸の頬を、両手で挟む。 ぱしん、という乾いた音がした。     
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