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「お、お願い・・・っ、橘、放して」
「嫌だ」
「放して！放せ！・・・じゃないと」
「じゃないと？」
「っ・・・・・・好きに、なる・・・」
「・・・瀬戸」
「せっかく、いっぱい飲んで忘れようとしたのに・・・諦めようとしたのに。
別れるって言われたくないから、自分から言ったのに！」
「・・・っ」
頬に触れていた手に、涙が流れてくる。
何筋も、何筋も。
「また好きになって、好きになったら、また別れようって言われる。もう嫌だ・・・」
・・・そうだ、俺は今まで、
何度瀬戸に別れを告げてきた？
何度、瀬戸の思いを振り払ってきた？
「・・・・・・ごめん」
瀬戸に別れを告げられて、心臓が抉られそうなほど苦しくて。
だけど、いつもその苦しみを味わっていたのは、
――瀬戸の方だ。
「た・・・ち、ばな・・・？」
「ごめん、瀬戸・・・ごめ・・・ん、ごめ・・・」
瀬戸の頬に、雫が落ちる。
俺のものだとわかっていても、とまらなかった。
「・・・どうして、橘が泣くんだよ」
「・・・・・・ごめん、っ、瀬戸・・・」
腕の力がふっと消え、
瀬戸の上に倒れこんだ。
「瀬戸、せ、と・・・」
「や、やだ・・・泣くな」
「・・・たのむ、から・・・、俺を好きになってくれ・・・」
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