完璧男子に類なし The last decision

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「・・・だめ、だめだ。俺はもう・・・」 「瀬戸・・・っ!」 もう一度、瀬戸に愛されたい。 好きだと言われたい。 一緒に、いたい。 「・・・・・・もう、傷つきたくない。苦しい思い、したくない」 瀬戸が、つぶやくように言う。 そして・・・ 「好きに、なりたくない・・・・・・、のに」 震える俺を 優しくて暖かい手が、包んだ。 「うわああああ!」 時計を見ると、もう家を出なくてはいけない時間だった。 飛び起きて、慌てて服を着る。 「いたたたた・・・」 隣に寝ていた瀬戸が、苦しそうに頭を抑えている。 「ほら、早く起きろ!仕事に遅れるぞ」 「・・・あ、俺、夏休みだから、行かなくていいんだ」 ・・・そうだ、 今幼稚園児は、夏休み真っ只中だ。 ということは、慌てるべきは俺だけか。 「ああもう、じゃあ黙って寝てろ!どうせ二日酔いなんだろ?」 「・・・うん。さすがに飲みすぎた」 瀬戸がうとうとしている間に、出社の準備が完了する。 ただ、家を出る前に確認しなくてはならないことがあった。 「・・・なあ、瀬戸」 「なに?」 「俺、今日6時くらいには仕事終わるんだけど・・・その」 「・・・ん?」 「ここに帰ってきても、いいのか?」 瀬戸は一瞬、驚いていたが、 ふっと優しい顔になって。 「・・・・・・うん」     
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