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私はふと感じました。きっと小心な人で、女性を取り合うことができない御仁だと。そんな想いに耽る余り何も言わずに黙っていたのです。しかし、彼女はこういった雰囲気を嫌ったのでしょう。
「驚いたわ。あんな場合、普通、将来は結婚するつもりって言うんじゃない?」
彼女の云うことは至極尤もでした。何故あんなふうに云ってしまったのかこうして振り返ってみても所以は確知できない有様でした。
「でもかえってリアリティーが、あったかもしれないわね。だからあうやこうや聴かれなかったんだわ。」
安堵からでしょうか。彼女は屈託のない表情で話しました。それに呑まれるのにしても、やはり、こうなったいきさつを尋ねるのが筋なんでしょう。しかし、一方で、このまま聴かずに立ち去るのもありかとの考えもありました。
もっとも彼女にすればそう思っているにしても、何か、聴きたげであったと見えたのでしょう。彼とのこれまでのことを語ってくれました。
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