中性的な美人

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 気になって眠れない。 (あんな立派なモノを受け入れてくれる女なんているのだろうか)  経験豊富な熟女でもなければ無理じゃないかと思った。  だが、あれだけの美人だ。きっとモテるに違いない。  どれだけの女を泣かせたのだろう?  彼が誰かをよがらせている様を想像してみたが、いつになっても無反応な自分の下半身にがっかりする。  元々そんなに性欲旺盛な方ではなかったが、結婚してすぐにほとんど興味がなくなってしまった。  妻の事は好きだったし、大事にも思っていた。  それでも夜の務めがだんだん面倒になって、いつしかエロビデオを見ても勃たなくなった。  快感を得られない事をつらいとは思わなかったが、男として情けないとは感じていた。自身の不甲斐なさが際立つせいで、時折求めてくる妻が疎ましくなった。  側で寝息を聞くのもつらくなっていた。寝るときに人の気配があるのが嫌になっていた。  それが、彼の寝息が聞こえるだろうかと耳を澄ませてしまう。  密やかな気配にドキドキした。 「ック、くっ…そ…」  荒い息遣いと呟きが聞こえた。  そっと起き上がり、襖を少し開けると、ソファーの背もたれの向こうで小刻みに揺れる姿があった。 (抜けないのか?)  動きからしてあの怒張した一物をしごいているのだろう。  田口は可哀想に思って切なくなった。  居間に足音を忍ばせて入ると、ソファーの背もたれの上から乗り出して、囁いた。 「イカせてあげる…」  彼の熱いモノをつかむ。びくりと身体を震わせて、田口の大きな手にもあまる大きなそれがいっそう固くなる。 「はぅ…、や、い…」  「メイ、こんな大きなのビックリしたの、だから手でイカせてあげる」  隣の娘がしているのだと思ってくれればと思った。  優しく手を上下させる。  彼の身体が強ばり、叫んだ。 「やっ、た、田口さんっ、無理っ!!」  田口はハッキリした拒絶の言葉にハッとなり、離れた。  何をしでかした? 頭が真っ白になった。 「すまなかった」  かすれる声を絞り出して和室に入った。  閉じた襖越しの背後で、すすり泣くような息遣いが聞こえた。  暫くして、ベルトの金具がなる音がして、彼が出ていったのが分かった。  なんて事をしてしまったのだ。  彼にはもう二度と会えないだろう。絶望感で力が抜けた。
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