金田部長の憂鬱【番外】

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「もう恋はしないと思っていたのに…、一目惚れしてしまった」  呻くような声だった。  一瞬何を言われたか飲み込めなかった。  まさか金田が自分に一目惚れなわけがない。 「い、良いじゃないですか!」  久しぶりの恋に怯えているだけだとわかって、金田を可愛いと思った。  金田の頭が下がる。呻いている。  クールな金田部長のこれまでに一度もみたことがない様子に動揺する。  安易に喜んではいけない何かがあるのだろうか。 「ダメなんだよ。…あの子はバリネコなんだ」  お互い抱いて欲しいだなんて確かに絶望的だ。  しかし金田は元々どちらも出来たはずだ。 「…金田部長はタチの経験もありますよね?」 「ああ、一夜の恋と思って抱いたさ。でも今、凄くあの子に抱かれたい…こんな、こんな噛み合わない想いは殺すしかない…だから…」  顔を上げた金田は縋るような目で有馬を見た。 「有馬くん、君ので彼を忘れさせてくれ」  何年も断っているのにどうしてそこに話が戻ってくるのだろう。  一瞬頭が真っ白になったが、手にした紙袋を見て閃いた。 「…これ挿入したまま抱いてみたらどうですか?」  金田は一瞬キョトンとしたが、すぐに赤くなって首を横に振った。 「…そんな変態じみたこと…」  好きでもない男に後ろでイカされたいというのも十分変態な気がするが、そんな考えは飲み込んで、金田の新しい恋をすすめさせようと言葉を探す。 「好きな人と気持ち良くなる工夫をするのって、楽しくないですか?」 「…ダメだよ…。もう会わないって決めたんだ」
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