金田部長の憂鬱【番外】

10/20
406人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
【金曜日夕方/会員制カフェバー/金田】  金田はスタイリッシュな仕種で馴染みのカフェの扉を開けた。  紺色のカッターシャツにグレーのパンツで、黒いジャケットと鞄を小脇に抱え、落ち着いた大人らしさを意識している。  そんないつものようにクールな佇まいを崩さずにいる金田だが、その胸はかなりドキドキしていた。  有馬から『先日のご報告があるので、今日、いつもの店に19時に来て下さい。準備をお願いします』と社内メールで連絡が来たのだ。  彼の心境にどんな変化があったのかは予測もできないが、何年も口説いてきた甲斐があったと浮かれていた。  一旦自宅に帰り、身体の準備をしてきていた。  店内に入ると店長がすぐに声をかけてきて、何も告げないうちのに店長自ら奥の個室に案内してくれた。有馬が予約してくしてくれていたらしい。  約束の時間まであとわずかだが、有馬はまだ来ていなかった。  個室の椅子は奥の壁に背もたれがついた建てつけのソファーだけ。汚れても良いようにカバーがかけられている。  ローテーブルには店長が置いていった温かいおしぼりが二つ。  鞄をローテーブルに置いて、おしぼりで手を拭った。鞄には大きめサイズのゴムとお気に入りのローションが入っている。  有馬の女っぽい顔は金田の好みではない。  5年くらい前だったか、いつも行かない社員旅行の後、新入社員の有馬の“モノ”が凄いとの噂が聞こえてきた。確かめるために翌年の旅行会に参加した。入社の年以来の参加だった。  男の裸体をみて平静を保てるか自信がなく、新入社員だった時には温泉に入らなかったのだが、その時は温泉に入り、こっそり有馬の身体を観察した。  有馬の顔はキリッとしたボーイッシュな美女のようだが、身体は細身ながら無駄な肉がなく、ほどよく筋肉質で男らしく美しかった。  その裸身を見ただけでも、金田はその場から動けなくなった。  そして、その股間にぶら下がるモノの、噂にも勝る大きさに、とても感動した。  最後に自分を満足させてくれた男の平時のそれより大きかった。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!