金田部長の憂鬱【番外】

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 その指が恐る恐るといった風に増やされるのがわかって金田は目を開けた、怪訝な顔が見下ろしていた。 「解してきたの?」 「ふん、ガバガバのゆるゆるなんだよ。残念だったな」  右の口角だけ持ち上げて、意識して小馬鹿にするように言った。  有馬のために解したとは言いたくなかった。  しかし自分の言葉に傷付いた。  恋はしないと決めたきっかけの言葉だった。 『ずるずるガバガバ、ゆるゆるのアナなんかに用はない』  愛しいと思っていた声がそう自分を蔑み、すべてを踏みにじっていった。  思い出の中の男の顔はもはや朧になっていたが、声だけはいつまでも耳に残っていた。  再び目を閉じて、安原の指に意識を向ける。  興奮が高まり口許が緩んで、吐息に喘ぎが混じる。  もっとかき回して欲しい。そんな言葉を飲み込んで、呻いた。 「んっ」  後ろがローションで濡れる感覚に、身体が震えた。 「金田さん、エロい…。すぐ挿れても大丈夫?」  言いながら安原はローションを手にとってゴムを被った自分にたっぷりつけていた。 「いつでも好きにしろよ」  どうせ二人ともイケやしない。  安原は金田の膝裏に手を滑らせて、金田の脚を両方とも自分の肩に掛けた。  金田の腰を捕まえ、孔に自分自身をあてがった。 「金田さん、言って…」 「何をだ」  聞かなくてもわかっていた。  自分が言わせたことを言わせたいのだ。 「ね?」  孔に先が触れているのに、自分ではどうにもできない態勢だ。 「私をイカせられなきゃ終わりだ。挿れたくないなら離れてくれ…」  焦れて威嚇する。 「金田さん?」  強がる金田に安原は甘く微笑んだ。  後孔を竿先がくすぐる。 「ああ、クソっ、挿れるなら挿れてさっさと終りにしろ!」 「50点。侑弥さん、もう一度…」
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