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それから三日、街道が川に沿うようになった。
しばらくしたところで、まだ夕暮れまで時間があったが、ミランダは休むと言った。
目に見えて疲れているのがわかる。馬には触れなかった。
そして、それは呆気なく訪れた。
「クロード。ここでお別れです」
ミランダは夕方になって起き出してくるなり言った。
「私とキリエルはこちらを行きます」
川面を指差す。
「あなたは帝都へ、私が乗っていると思って馬車を進めて下さい。そこであなたの任務は終わりです」
ろくな報酬もないのに、色々してくれてありがとうと感謝され、クロードは戸惑う。
この約二ヶ月、剣士として役に立つ場面は全くなかった。
「いいえ、あなたがいなければ強行もできず、私は無事にここまで辿り着けなかったでしょう。あなたのおかげで期限内に私も任務を終えられます」
馬車にはミランダが乗っていると錯覚するようキリエルが魔術をかけた。
返却するまでは、ミランダの追っ手がクロードを追う可能がある。
クロードの出発は夜が明けてからということになったが、ミランダとキリエルは船に食材などを積み込むとすぐ出発だ。
キリエルが魚から作った船は自力で川を遡るらしい。
クロードはキリエルに別れを言う際、ミランダが体力を使い切った場合の策を教えた。
そして二人を乗せた船はあっという間にクロードの視界から消えた。
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