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 それから花を見ずには居られなかった。愛しいと言う感情なのだろうか。 ところが日増しに俯いてしまう。 確実に弱っていく花を何も出来ずに ただ見ていた。 例えば根付いていたのなら、土にかえり、もう一度咲くことが出来たのだろうか。  花瓶から赤い花は消え、今度は黄色い小花をたくさん咲かせた可愛い花が飾られた。  私は誰よりも大きかった。 だが、居なくなるモノを何度も見送れるほどの強さはない。  私はもう窓を見ない。  私はもう花を見ない。 できることなら、また深く眠りたいと目を閉じた。 風が私の葉を揺らす。それすら自分の意思ではできない。 私は弱い。 ただ其処に在るだけ。
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