プロローグ

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僕の名前は橋本祐希。 どこにでも居る、至って普通な。 バシャッ バケツに入った水をかけられ、朝から早速びしょ濡れになる それを見て、やった本人や、クラスメートが馬鹿みたいにゲラゲラ笑っている。 そう、僕は至って普通な。 俗に言ういじめられっ子だ。 「あれあれ? 雨も降って無いのにどうしてびしょ濡れなのかな?」 ゲラゲラ笑いながら、そんな事を聞いてくる。 僕は気にも止めずに自分の机に向かって持って来ていたタオルで頭を拭いた。 「あれあれ? ツレないねー。」 何が面白いのか。 あんなにゲラゲラと笑って馬鹿みたいだ。 人の笑い声なんか嫌いだ。 自分を馬鹿にしたような醜い顔。 ここはそんな醜い顔で溢れている。 当事者でなくとも、関わりたくないから、とかまたやってるよー。 とか呆れる者、一緒に笑って見る者、見向きもしない者。 そんな人ばかりだ。 味方なんて居ない。 当然だけど。 自分が味方を作ろうとしないから。 だから誰も自分を救おうとはしないし、心配もしない。 それを面白がってアイツらは今日もこの調子だ。 だからとても居心地が悪い。 キンコンカンコン。 聞きなれたチャイムと同時に先生が入って来て、アイツらも席に着く。 そうしてまた、つまらない毎日が始まる。 「はーい! 席に着いて。 今日は転校生を紹介しますよ!」 特に興味も無く、ただ窓から見える空を眺める。 いつも思う。 僕は何の為に生きているのだろうと。
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