最後の日のはずだった

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pipipipi... 電子機器の音で僕は目を覚ました。 「ん...?んー............!?」 聞きなれない音に覚醒していない僕の頭は驚きもせず、耳障りな音を消そうと身体をひねる。 が、しかし、いつもなら無いはずの香りが鼻を通り、意識が覚醒する。 「...?...!?、!?!?」 声は出ないし裸なんだけど!?!?もう意味が分からない!!!! 見回すと自分の寝起きする部屋とほぼ間取りが変わらないが明らかに自分のとは違う部屋。 本棚やサイドテーブルには見慣れた物もある。 え...!?!!??? 「...朝からゴソゴソうるせーなー...」 「っ!!!!!?!?」 突如聞き慣れた声と、腹を優しく抱き締められる感触に声にならない悲鳴が喉を通る。 待って、ねぇ待って、おかしいよ? 僕は今日、秘密の場所に行って身投げしている筈では??? だってだって!僕、10年前に飛び降りるのにぴったりな場所を見つけてしっかり計画立ててたじゃん! 誕生日以降に予定も入れないようにしたし、見える所以外の私物を捨てたし、僕が前借りしてるお金も払ったし、昨日の夜、慎ちゃんにも今までのお礼とかお酒を飲みながらちゃんと話したじゃん! ...あ、え?お酒? 「あー?酒やけか?っくく...自分で作った酒で昨日は酔っ払ってたもんなー?」 「!!!!!!!!」 「いやーそれにしても俺も酔ったな~」 う そ で し ょ ーーーーー?!?!?!? 昨日の深夜に向かう予定だった秘密の場所に行ってない???? それに昨日の夜酔っ払って慎ちゃんの部屋に!?!??? え、待って裸で同じベットって...いやいやいやいやいやいや!!!!!!!!!そんな訳ないない!!!! 「...じんぢゃ...!」 「まさか酔っ払ってお前を抱いちまうとはな! はっはっは!世の中分からないことだらけだな!!!」 「...................」 あっ頭がくらくらしてきた... こうして僕は朝から意識を失った。 慎ちゃんが何か言いながら僕を揺さぶったらしいが、意識を手放した僕にはもう分からない。
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