第二章 出会いの宴(3)※ベッドシーンあり

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「マリア、大丈夫かっ」  ジクムントが顔を覗き込んでくる。  掘り深い精悍な顔立ち、切れ長の双眸(そうぼう)、その奥にある澄んだ虹彩が迫る。  三年前よりもずっと大人びた、彫りの深い顔立ち。  同じ整っていると言ってもニオイスのように浮ついたものがなく、不用意に近づけばたちまち斬りつけられる鋭さがある。  マリアの鼓動が早鐘を打つ。 「マリア……」 「ジーク、様っ」  ジクムントに抱きしめられた。  呼吸するたび、かすかな汗の香りが鼻腔をくすぐる。 (ジーク様の、におい)  濃密な彼の香りに頭がクラクラしてしまう。  汗を額に滲ませ、涙ぐんだマリアを前にジクムントは何かに気付いたらしい。 「あいつに薬を飲まされたのか。そうなんだな」  マリアは小さくうなずく。 「……侍医から話は聞いていた。もし薬を飲まされていたら、抜けるのに時間がかかるだろう、と」  マリアは肩で息をしながら小刻みに震えている。  身体の底でくすぶる懊悩(おうのう)の火種が、ジクムントが間近にいることで大きくなってしまう。
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