第一章 都からの使者(2)

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 マリアが屋敷に到着すると馬を(うまや)へ戻し、家に入る。  執事たちが恭しく頭を下げて出迎えてくれる。 「お嬢様、お疲れ様でございます。朝食の準備が出来ております。まず湯浴みからにいた しますか?」 「その前にお母様に会いたいんだけど、大丈夫?」 「奥様はただいまお部屋で朝食をお取りになられております。……その、ご弟妹方もご一緒でして……」  使用人たちはマリアを窺うように付け加える。  マリアは小さく鼻から息を漏らす。  どうせ弟妹たちが無理を言い、母が弱り切った使用人たちに救いの手を差し伸べたのだろう。 「分かったわ。私から二人には言い聞かせます。では私の食事もお母様の部屋へ持ってくるように」  使用人たちはほっと胸を撫で下ろす。 「かしこまりました」
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