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マリアはアンネに言う。
「……これも陛下のなされていることと関係があるのかな」
「どうかしら。でも陛下がやると決めたことを私は支持するわ。マリアはどう?」
「私も。ジーク様がやっていることだもの……」
と、アンネは少しでも力を入れれば折れてしまいそうなくらい細い手を、マリアの手に重ねる。
「あなたはあなたの幸せを追いかけなさい」
「私の?」
「そう。もう耳にたこでしょうけどもう何件も縁談の話は来ているの」
「でも私がいなくなったらお母様が大変じゃない。今、家を空ける訳にはいかないわ」
「……マリア」
アンネはマリアの心に気付いているだろう。
その心に芽生えたまま行き場を無くしてしまっている恋心のことを。
だからこそアンネは娘の言うがまま、これまで寄せられた縁談を断り続けていた。
でももうマリアも適齢期である。
妹のセリノのことを考えれば、いつまでも一人という訳にはいかないのも事実だ。
セリノまで嫁き遅れには出来ない。
「よく考えなさい」
「……はい」
マリアは溜息混じりに首肯した。
アンネがしょうがないわね、とでも言いたげに、くすりと微笑んだ。
「みんなで朝食をとりましょう。セリノもカルロスもきっと待ちくたびれてるわ」
「うん」
マリアはうなずき、弟妹たちに呼びかけた。
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