序章 戦火の古城

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 ポラリスは憔悴(しょうすい)しきった顔に(いきどお)りの朱を上らせ、吠え続けた。  口の端には(よだれ)の泡が(にじ)む。 「一族の者の命は庶人として生かしてやる。安心して冥土へゆけ」 「恩知らずの昏君めがっ! 安逸な死など望めないと思えっ! はらわたを腐らせてのたうち回り、血を吐きながら永劫の苦しみの果てに死んでしまえぇぇぇぇ……っ!」  ジクムントは温度を感じさせない紅い双眸(そうぼう)でポラリスを見すえたまま腰の剣を抜く。 「ひっ」  ポラリスは喉から小さく呻きをこぼすと、身を引く。  逃げようとするのを左右から兵士に押さえつけられた。  鏡面のように磨き抜かれた両刃の刀身がポラリスの姿を映す。
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