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「侍医が言っていた。薬を飲まされていた場合は、速やかにそれを鎮めれば良いと」
一瞬、ジクムントの目に光がはしるや、マリアの唇を奪われた。
「んんっ……」
(ジーク様!?)
今、自分に起きていることが信じられなかった。
しかし紛れもない現実だ。
唇を塞がれながら身体をまさぐられる。
ニオイスに触れられた時にはあれほど嫌悪感を覚えたというのに今は違った。
触れられるだけで身体が過敏に震え、疼いてしまう。
「あぁっ、ジーク様っ」
舌がするりと唇を割ってくる。
歯列を追しのけ、優しく口内をまさぐられた。
とろとろした唾液を掻き混ぜられ、マリアは身動ぐ。
こんな口づけは夢にすら見たことがない。
とても生々しく、動物的なものだと思った。
なのに、自然とマリアの舌も一緒になってうねり、絡めあう。
優しく舌先を触れあわせ、擦らせ合った。
淫靡な水音がクチュクチュと唇の狭間で跳ねる。
(私、なんていやらしいことをっ)
そう思ってもやめられなかった。
舌を優しく吸われ、そっと噛みされる。
ジクムントの身体に自分の肉体がゆっくりと呑み込まれていく、そんな錯覚をしてしまう。
ジクムントの逞しい肩に手を置き、ぎゅっとしがみつく。
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