第八章 対峙(3)

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「ダートマス。望み通り、来てやったんだ。マリアを返してもらうぞ」  ダートマスは哀れなものでも見るような眼差しをする。 「あなたは変わられた。以前であれば死ぬと分かっていてただの女一人を取り返す為に乗り込んでくるような方では無かった……。あの無礼者のメンデスの娘に身も心も腑抜(ふぬ)けにされたようだ」 「大切な者を守れず生きているよりはましだ。もうこれ以上、俺は後悔をして生きていたくない。それだけのことだ」 「ふん」  ダートマスは気に入らないと言いたげに鼻を鳴らすと、顎をしゃくる。  兵士がマリアに近づき、椅子から立たせるとジクムントの方へ押しやった。  マリアはつんのめりながら、ジクムントの腕の中に収まる。 「怪我は?」 「ジーク、どうして来たのっ」  ジクムントはきょとんとした顔をする。 「その言いぐさはなんだ。お前を助けに来たんだ」 「私よりも、あなたにはたくさんの国民の将来がかかっているのよ! なのに……」 「マリア。お前もヨハンも俺を死にたがりにしすぎだ」 「え?」  ダートマスの声が響き、会話が中断された。
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