鏡のこと

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 友人からもらったその鏡は、直径三十センチほどの金属製のどっしりした作りの鏡であった。持ち柄がないため、現在は机の上に立て掛けて使っている。  鏡の面は端の方は曇っているが、顔を映す分には問題なく使えているためそれほど気にしたことはなかった。裏面にはぐるっと不思議な模様が彫られていて、まるで歴史の教科書にも載っていそうな貫禄がある。  古いものは嫌いではないので、加奈子は友人から話を持ちかけられた際には二つ返事でそれを譲り受けることにしたのだった。
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