木村編/Fly high

6/7
前へ
/32ページ
次へ
「・・・そう、思う?」 「違いますよね・・・すいません」 「それが本当だって言ったら、信じてくれるかな」 「え?」 「笑わない?」 「・・・・・・」 「正直に言うとね。飛んできたんだ」 「・・・・・・」 木村さんの言葉に、また私は言葉を失う。 「ふざけてないよ!?ほら、森井さんだって飛んだでしょ?」 「・・・羽が、あるってことですか?」 「いや、俺は羽はないんだけど」 「じゃあ・・・」 「飛んだっていうより、まぁ 跳ねたって言った方が、正しいと思う」 「跳ねた?」 「俺ね、単刀直入に言うと 下からジャンプしてここまできたんだ」 「・・・・・・」 「・・・やっぱ信じてないでしょ?信じられないのはわかるけど」 森井さんや西山さんのこともあった。 だから。 でも・・・・・・。 「飛ぶとこも見てないしね。 信じろっていう方が難しいよなぁ」 苦笑いしながら、木村さんが言った。 「跳ねるって、ジャンプで飛んだってことですよね?」 「そ」 ふと、木村さんの足を見る。 なんの変哲もない、普通の脚だ。 「別に変わったとこないでしょ? でも見た目と中身は違うんだよ。 こいつは化けもんだから」 微笑みながら言う木村さん。 その微笑の中には 以前の森井さんと似たものが見え隠れしてるのがわかる。 あぁ 木村さんにも、何かあるんだ。 森井さんのように 望んでもいないのに手にしてしまった能力が。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加