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「・・・そう、思う?」
「違いますよね・・・すいません」
「それが本当だって言ったら、信じてくれるかな」
「え?」
「笑わない?」
「・・・・・・」
「正直に言うとね。飛んできたんだ」
「・・・・・・」
木村さんの言葉に、また私は言葉を失う。
「ふざけてないよ!?ほら、森井さんだって飛んだでしょ?」
「・・・羽が、あるってことですか?」
「いや、俺は羽はないんだけど」
「じゃあ・・・」
「飛んだっていうより、まぁ
跳ねたって言った方が、正しいと思う」
「跳ねた?」
「俺ね、単刀直入に言うと
下からジャンプしてここまできたんだ」
「・・・・・・」
「・・・やっぱ信じてないでしょ?信じられないのはわかるけど」
森井さんや西山さんのこともあった。
だから。
でも・・・・・・。
「飛ぶとこも見てないしね。
信じろっていう方が難しいよなぁ」
苦笑いしながら、木村さんが言った。
「跳ねるって、ジャンプで飛んだってことですよね?」
「そ」
ふと、木村さんの足を見る。
なんの変哲もない、普通の脚だ。
「別に変わったとこないでしょ?
でも見た目と中身は違うんだよ。
こいつは化けもんだから」
微笑みながら言う木村さん。
その微笑の中には
以前の森井さんと似たものが見え隠れしてるのがわかる。
あぁ
木村さんにも、何かあるんだ。
森井さんのように
望んでもいないのに手にしてしまった能力が。
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