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しばらくして店を出た。
食事は彼がおごってくれた。プレゼント、という事だった。物をくれても困るけれど、要らないとも言い出せなかったから、少しほっとした。
車がゆっくりと発進する。
なずなの住むアパートまで、二人はずっと喋っていた。穏やかに、尽きる事なく。
「あの店、形はともかく、残るのよね」
「うん」
「良かった」
「うん」
それでも、店は閉まり、私達も終わる。
でも、
終わらなければ、始まらない事もあるのだ。
車内にはジャズが、穏やかに流れていた。
完
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