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輪廻月路
1番目の翠月が昇ったら……
はじまるよ、月光時間
ティルナノーグ……
ティル・ナ・ノーグ
【常若の国】の通路がひらいて
季節の精霊たちが渡ってゆく
春のぬくもりを届けに
夏の風を吹かせに
秋の香りを運びながら
冬の輝きを飾りに
季節を巡らせる息吹となりゆく
2番目の月が紅く色づいたら……
目覚めるよ、銀色の獣
白銀の翼煌めかせ
月の女神を迎えにゆく
聖夜護りし女神をその背に乗せて
天へ続く月路を翔ける
その羽ばたきの輝き
光の雫となりて大地に降り
闇を溶かし
夜は終わる
3番目の銀月が欠け始めたら……
それは朝のはじまり
月光時間が終わるまでに
わたしは女神の月謳を心に刻む
その音と響の記憶を
夢と紡ぎ
輝きはじめる未来の刻へと繋ぐ
幾度も
幾度も
満ち欠けを繰り返しながら
そしてまたいつか
銀色に染まる
あの森の夜へ還る
そのときまで……
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