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同室者
案内された部屋は二人部屋で、表には既にプレートがあった。
木枠の中に同じく、木で作った札が差し込まれている。
自分の名前の隣には、『ラウル・ハーゲンバーグ』という札があった。
「ここだ。後は一人でも大丈夫か?」
「はい。有難うございました」
しっかりと礼をしたランバートは、改めて扉と向かい合う。そして、硬いノックをしてから扉を引き開けた。
中は簡素だが、実に機能的なものだった。ベッドが左右に二つ、机とクローゼットはベッドの横にそれぞれある。書棚は一つだが、中身は多くない。
そしてその少年は、ベッドに腰を下ろしてランバートを待っていた。
まだ幼い印象を受ける少年だ。短い茶色の髪は明るい色合いで、あどけない少年の顔立ちや表情によく似合う。縦に大きなライトブラウンの瞳も、若い輝きに溢れている。身長もそう高くはないが、さすが騎士団の人間だ。腕や足はそれなりに綺麗な筋肉がついている。
少年はぴょこんとベッドから降りると、速足でランバートの傍にきて、弾ける笑みを惜しみなく向けて手を差し出した。
「はじめまして。同室のラウルです。えっと…」
「ランバートです。こちらこそよろしくお願いします、ラウル先輩」
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