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 次に目が覚めたときには随分と気分がすっきりしていた。柊はアトリエの畳敷きの上で、天陽の作務衣を抱きしめたまま、眠ってしまったようだ。寒さに凍えた記憶があったが、体には毛布が掛けられ、アトリエ全体もストーブが入っていて暖かだった。  天陽が亡くなってからまともに眠れたことがなかったのに、熟睡できた実感もある。おぼろげな記憶で、睦生が自分に何かを飲ませてくれたことを思いだした。医師だから薬を持っていたのかもしれない。  リビングに戻ると睦生がいた。彼にしては遠慮がちな様子でソファの上で、本を読んでいる。目が合うと、一番に詫びられた。 「悪かった、勝手に入ってしまって。あなたが倒れているのが見えて、鍵がかかってなかったからつい」 「毛布をかけてくれたの、先生ですか?」 「そうだ」 「ありがとうございます。なんか久しぶりによく眠れた気がします」 「そうか……それならよかった」  アトリエで目覚めたとき、ストーブにヤカンを置いてくれていたようで、お湯がシュンシュンと沸いていた。     
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