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「先生、外は雪ですよ」
それで初めて、睦生は窓の外を見た。外はもう十分暗いし、森の中は風でも吹かない限り普段からとても静かだ。カーテンはずっと閉めっぱなしだったから、天井近くの庇窓しか外を窺う術がないこともわかっているが、それにしてもと呆れた。
「雪が……それも積もってるじゃないか」
「天気予報見てないんですか?」
「夜勤中は天気を気にしていなかったし、勤務を終えてすぐにここへ来たからな……」
続けて「スタッドレスもまだ履いてなかったな」という呟きが聞こえた。この人も、浮世離れしているのだなと思う。
「お仕事は?」
「明日は休みだ」
「それなら、離れがありますから、よかったら泊まっていってください。こんなに積もってしまったし、今からタクシーを呼んでもなかなかここまでは来てくれないと思います」
「いいのか?」
「ここまで勝手にいろいろしているんだから、今更気にする必要もないでしょう?」
本当に、今更何を言っているんだと思った。仕事をしているときの睦生とのギャップがありすぎて、面白くすらなってきた。
「じゃあ、迷惑をかけるが、その……よろしくお願いします」
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