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 自分のために作ってくれた器を、こんなふうに使う日が来るとは思わなかった。  器をアトリエ中央にある日当たりの良いテーブルに置いて、いつも天陽が作業をしていた場所をしばし眺めた。庭に出ると、数日間放ってしまった畑を手入れをして、収穫した青菜を器の脇に並べた。  何の気なしにつけたテレビでは、短い時間ではあったが、天陽の死を伝えていた。ネットでも同じような記事をみた。いずれも早すぎるその死を悼んでいた。
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