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 ひとりになってからも日課にしている野菜の世話を終えると、シャワーを浴びた。体をさっぱりさせた後、喪服に着替え車に乗り込む。  今日は天陽の告別式だ。密葬で人数も少ないため、参列するわけにはいかないが、少し離れたところから見送るくらいならばバチは当たらないだろうと考えた。柊にとっても、遠くからなら冷静に見送ることができるだろう。そう思って少し離れた場所から寺を望む場所に車を止めた。  ちょうど奥さんや娘さん家族と思われる人たちが見えたが、ここからでは遠すぎて表情まではうかがい知れなかった。だが天陽の遺影を中心にしたその様子はまぎれもなく家族で、まるでずっと寄り添っていた家の主に別れを惜しんでいるように見えた。  そこには自分の存在など、少しも入る余地はない。まざまざと現実を突きつけられた気がした。やがて出棺の様子が見てとれ、霊柩車が寺から出て行った。  ――これで本当に、天陽は行ってしまうのだ。  これまで、自分が想像していたよりも、どっぷりと悲しみにつかっていたわけではなかったと思う。     
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