真実の夜*

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 迅鷹は自分の身体などでは、きっと満足できる人じゃないのだろう。そう考えていた。迅鷹は、己の欲望をさらしたりしない。隼珠の精だけをいつも搾り取る。だから隼珠は、この行為が同情なのだと信じていたのだった。 「隼珠よ」  迅鷹の手が、下帯の膨らんだ部分にあてられる。 「俺がお前のよがってるところを見て、正気でいられたとでも思ってるのか」  ギュッと握られて、隼珠は快感に呻いた。 「あ、ああっ」 「俺がどれだけ我慢してきたか」 「は、は、あふっ」  そのまま扱かれて、隼珠は内腿をわななかせた。両足は迅鷹の腰に阻まれてとじることができない。 「お前だけじゃねえ。俺も、欲しくてたまらなかったんだよ」  竿の形をたどるように、上下に手を動かされて、隼珠は嫌々をするように首を振った。 「あ、あ、ああっ、そんな、こと、されたら、……も、もう……」 「けどよ、最後までしちまったらもう、後戻りはできなくなる。お前を手放すのが怖くなる。だから俺ぁ、絶対に、自分の欲だけはお前にぶつけねえように我慢を強いてたんだ」 「……鷹さんっ」  隼珠が両手をのばして、迅鷹の首に縋る。迅鷹の腿の上にのるようにして、相手にしがみついた。 「や、や、やだっ」  うわごとのように呻く。 「やだ。そんなのはいやだ。鷹さんが、俺のせいで我慢して苦しむのは、ぜったい、に、いやだっ」  迅鷹の首に、自分の頬をこすりつけた。そうすると相手の髪や肌から、なじんだ匂いが立ちのぼる。迅鷹の匂い。隼珠の大好きな、澄んだ日なたの匂いが。それが今は濃く強くなっている。きっと喧嘩と情欲に興奮しているからだろう。だとしたら自分もまた同じように激しく欲望の気を発散させているはずだ。  ――欲しい。この人のことが、全部。してほしい。望むことを、すべて。 「お願い……してっ、して、くだせぇ……っ」  男の手に、自分の股間をなすりつける。迅鷹の手がとまり、代わりに肩がぐうッと持ちあがった。 「かわええことばっかり言いやがって」  迅鷹の手が、隼珠の急所をきつくしめつける。絞るようにされて、隼珠は痛みと気持ちよさに、さらにものを硬くしてしまった。
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