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隼珠は相手の首に手を回し、両足を腰に巻きつけた。とまらない抜き差しに、粘膜は鬼灯を潰すような卑猥な音をたて、暴かれた門は引きつり、摩擦の熱さに翻弄された。
それでも想い人とひとつになれた嬉しさに、全身が喜びうち震える。
「……鷹さん」
「痛いのか?」
「気持ちいい……」
迅鷹が隼珠の頬を両手で包んで、口を吸った。
「お前の身体が欲しくてたまらなかった」
「俺も、です」
また気持ちが高揚して、涙がにじんでしまう。自分はこんなに脆かったのか。
「あなたのもんです。俺の身体は、ぜんぶ」
迅鷹の激情に揺さぶられながらささやく。
「助けてもらったあの日から。あなただけのもんです」
迅鷹が、たまらないというように隼珠の髪をかき乱し、深く口づけた。
「隼珠」
打ちつけるたびに嵩を増す凶器に、胸までも貫かれる。
「それは俺のほうだ」
漆黒の長い髪が、隼珠の額で揺れた。
「あの日、お前が、俺を、助けたんだ」
間近で見つめられ、そうして微笑まれる。流した涙が、相手の指先を濡らした。
「鷹さんしかいない。俺の人生にはもう」
「俺にも、お前しかいない」
迅鷹が力いっぱい、隼珠を抱きしめる。隼珠も腕を回して応えた。激しい抽挿に、ふたりは溶けてひとつになっていくようだった。
「……離れたくない」
言葉がこぼれる。それは隼珠のたったひとつの願いだった。
迅鷹が愛おしくて仕方がないと言うように腕に力をこめる。
「ずっとつかまってろ」
そう言って、激しく、けれど愛情深く、隼珠の中を蕩かしていく。
「……ああ。も、う……」
また頂きまで連れていかれる。二度も達したのに、際限なく身体は迅鷹を欲しがっている。
「あ、ああっ、――ああ、鷹さん……」
隼珠が階を越えるのと同時に、迅鷹も身を奮わせた。ふたり一緒に命の源を放ち、解放されて心をひとつにする。
「俺も離さねえ」
低くかすれた声が、重なった肌から響いてくる。
八年前、死の淵にいた自分を救おうとした声の主。
隼珠はその声に、漆黒の闇から引きあげられていく心地がした。
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