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「鷹さん……」
迅鷹は微笑みながら、隼珠の唇に自分のものを重ねてきた。やわからく吸われて、舌を絡めあわせれば、隼珠は嬉しさに目眩すら覚えた。
人の道に背く生き方を選んだと、世間からはそしられるかもしれない。
けれど、ここが、ただひとつの、自分の在り処なのだ。
――この人のために生きて、この人のために死のう。
強く抱きしめられて、永遠の誓いをたてる。
――これから先も、ずっと――。
「隼珠、お前は俺の宝だ」
背負った鷹とともに腕に抱かれ、隼珠は今までにない幸せを感じていた。
◇◇◇
『白城の鷹』の背中には、阿修羅像が彫られている。
右肩には、一羽の鷹。隼珠が、なによりも愛する気高い鳥だ。
その左肩に、つがいのように隼が舞い降りたのは、再会から数か月後のことだった。
【終】
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