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カナタ……。
多く叶える、で……かなた……。
不意に思い出されたその声が耳を撫でる。
叶多……。
きっと、頬は緩んだまま。
ハンモックの揺れと瞬く満天の星達。
焚き火の爆ぜる音に揺れる炎。
コーヒーの湯気の向こうで少年のように笑う。
口調は雑なのに親切で。
怪しさを増す無精髭。
テントを手早く組み立てる太い指。
低音が心地良い彼の声。
楽しそうに笑って出来る目尻のシワ……。
いつの間にか、私は意識を落としていた。
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