瞬く星の下で君と。

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「へぇ、あんたキャンプ初めてなのか。よくこんなマイナーなキャンプ場見付けて選んだな」 笑いながらも手はテントを組み立てたまま忙しなく動く。 「ほら、ぼうっとしてないでちゃんと覚えろよ。次は自分一人でしなきゃいけないんだから」 「は、はいっ」 テキパキと私に指示を出しながら口調は雑に、でも本にも載ってなかったアドバイスを丁寧に教えてくれる彼。 あんなに時間が掛かっていたのが嘘のようにあっという間に完成した。 「あっありがとうございました。本当に助かりました」 「後は大丈夫?火とか一人でも熾せんの?」 「実はそれも初めてで。でも頑張ってみます。本当にありがとうございました」 「じゃあ、また何か困ったことあったら遠慮なく言って。俺ここ長いから自称管理人」 そう言って自分のテントを指差して笑うと彼は颯爽と去って行った。 見た目は怪しい人だったけど、中身は良い人らしい。 でも自称って、やっぱり怪しい……。 その後ろ姿につい小さく笑った。
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