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その間残されたのは女子社員たち。催促電話をかけるにも手が足りず、債務者を大いに喜ばせたようですが。
さて、なんだかんだで、おっさん達の努力が実を結び、材料の加工は成功しました。
現在の脱法ハーブの販売ルート同様、それを買う人間は同じ場所に集まるだろうということでネット販売に踏み切ったら、これが大成功!
出せば即完売の入れ食い状態が実に一月ばかり続きました。この分だとビル・ゲイツ道まっしぐらか?社員達の大型ボーナスに海外旅行も見込めるかと思いきや…?
ある日コールセンターのアルバイトが取った、一本のクレーム電話が発端でした。
降って湧いたように、『看板倒れ!』『不良品だ!』『金返せ!』という苦情が殺到!会社の電話回線はパンクする始末。またもや返済督促がなくなって債務者達は胸を撫で下ろしたのですが…。
でも、何故にそんなにクレームが?
強面社員の代表が婆さんに言いました。
「社長。あの粉はまったくトリップできないって、ユーザーさんは怒ってますよ」
「そんな訳はなかろうが!空気が清浄になるんじゃぞ!健康的ぢゃろうが!」
婆さんは寝耳に水の事態に、逆ギレ!
「いや、もともと不健康でいいものだし…」
事実を否定されても、ねぇ?
「だいたい、名前からして妄想の塊ぢゃろうが。あれは!」
「は…?」
このやりとりで初めて、社員達は社長のとんでもない勘違いに気がついてしまったのです。
「社長…あの…」
「なんぢゃ?」
苛立ちを隠せず社員を睨んだ婆さんですが…。
「それ、違います」
「な、なんぢゃと…」
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