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先輩の後を歩いて数分、会社の外に出た僕達は今日が土曜日なのも関係しているのか喧騒の中新しく出来たというレストランに向かった。
そしてたどり着いたそこには外装がとてもお洒落な趣のあるお店があった。
こんな大人っぽいレストランに入るのかともう既に大人なくせに縮こまっていると、その姿を目にした先輩は肩を震わせて笑い始めた。
「せ、先輩っ!」
「いや、だって、おまっ、……ふはっ」
必死に笑いを堪えようとしたのか口元を手で抑えて結局耐えきれず吹き出した先輩に怒った僕は、先輩を放って先にお店に入った。
「一名様でよろしいですか?」
お店に入るとコンクリートの壁に包まれた比較的明るい電灯に照らされながら設置されているテーブルと一人用のソファが目に入った。
なんてお洒落で素敵なお店なんだろうと眺めていると前から笑みを浮かべた店員さんが声をかけてきた。
幾ら内装が良くてもまだ怒っていた僕は「はい、そうです」と答えようとして
「岳沢!悪かったって!」
と後ろから追いかけてくる先輩の声が聞こえて深いため息をついた。
「すみません、二名です」
「かしこまりました。此方にどうぞ」
隣に立った先輩をひと睨みして店員さんの後を着いていく。その間先輩は流石に笑い過ぎたと反省しているのか肩をガックリと落とし申し訳なさそうに眉を下げていた。
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